変えていく2つの景色
シーズベーカリーの変えていく2つの景色というのを二大ミッションにした。「休耕田を小麦畑の景色にかえる」もうひとつは「食卓の風景を変える」ということ。前回なぜ大きな カンパーニュ を焼くかという理由がこの二つ目に大きく関わる。
大きな カンパーニュ
ニーズを考えれば、核家族化や未婚率から、パンのサイズはどんどん小さく個人向けのものになっている。それにパンは多くの日本人にとってみれば主食というより、「おやつ」としての側面も大きい。そんなことよりも、私たちはパンは大きく焼きたかった。そしてこのパンの大きさでしか伝えられないものがあると考えた。そしてこの大きさでやく私たちも楽しい。
大きな カンパーニュ が美味しくなる理由
パンの側面をクラスト、中身のことをクラムという。大きなパンはクラムがもっちりとしあがって、クラストが相対的に薄く、パリッとする。自家製酵母 で起こしたみずみずしい生地が、オーブンのなかでパリッとした皮のなかで長い時間かけてゆっくり火がとおることによってこの食感が生まれてくる。
なかなか売れなかった大きな カンパーニュ
でもこの大きなパンはなかなか売れなかった。どちらかといえば小さいコロコロしたパンが売れて、カンパーニュは売れなかった。だけど、これはシーズベーカリーのミッション「食卓の風景を変える」ことの象徴。簡単に止めましたとは言えない。これは、策略というより覚悟というほうがいいかもしれない。私たちがパンを焼く喜びや小麦のおいしさがつまったこのパンが売れなければやっている意味もないと感じた。
お客様の吸収のはやさ
最初にこのパンに目をつけたのは、料理教室を開いている人や料理人、シェフ、海外で暮らした経験を持つ人たち、それにとても料理が大好きな人。生活を楽しむ人たちだった。彼らは食べ方をすでに知っていて、それを広めもしてくれた。勇気を出して買ってみるわと言いながら買って行ってくれたお客さんもいた。一人暮らしのお客様も半分はスライスしてすぐに冷凍して使うなどして、こちらが食べ方をお知らせするまでもなくとても早い吸収力で使いこなしてくれている。いまではカンパーニュはもっとも早く売り切れるもののひとつだ。
もうひとつの変えたい景色
冒頭で述べた変えたいもうひとつの景色というのに、休耕田を小麦畑にということを書いた。この着想は、コーヒーのサードウェイブの考え方に似ている。パン屋のなかでも新しい考え方をする人たちは、麦畑と密接に関わって、農家と関係性を持ちながらパンを作っている。シーズベーカリーの畑は、あづま運動公園そばの佐原地区にある。次回のストーリーではこのあたりを書いてみよう。
シーズベーカリーSTORY#1(https://www.saga-d.co.jp/tanemag_cat02/dailyseedsbakery/#seedsbakery_story1)
シーズベーカリー公式ホームページ(http://seeds-bakery.com)
シーズベーカリーインスタグラム(https://www.instagram.com/seedsbakery/)